学術コミュニケーションにおける多言語使用に関するヘルシンキ提言

研究が国際的に行われる ― そのことに異議はまったくありません。その際には英語が使われるとしても、研究が地域にとって意味を持つためには、多言語使用が欠かせません。多言語使用を守りましょう。研究成果を自分の言語で広めることは、研究に「インパクト」をもたらします。自言語による発信を進めましょう。社会と直接につながり、学術界をこえて知を広く共有することはきわめて大切です。社会との接点を強めましょう。自国語での学術コミュニケーションの基盤が揺らいでいます。自国語での学術表現が失われないようにしましょう。

学術コミュニケーションにおける多言語使用に関するヘルシンキ提言の署名者は、政策策定者や指導的な人物、大学、研究機関、研究助成、図書館、研究者が以下のような勧めを受け入れるよう、働きかけます。

1. 社会に広く行きわたるように研究成果を発信することを支援する。

  • 学術界をこえて研究成果を発信し、伝統や文化、社会と直接につながることが研究者にとって報われるように施策を立てる。
  • 研究による知にさまざまな言語で平等にふれることができるように施策を立てる。

2. 地域にとって意味のある研究を公刊するための基盤を各国で守る。

  • 非営利の雑誌や本の出版元が、高いレベルの品質管理と研究の信頼性を維持するために必要な財源と支援を十分に得ることができるように施策を立てる。
  • 各国の雑誌や本の出版元が、内容をインターネットで閲覧可能(オープンアクセス)にする際に保護を受けるように施策を立てる。

3. 研究の審査や評価、助成のシステムにおいて言語の多様性を促進する。

  • 専門家による評価の過程において、質の高い研究が、公刊に用いられる言語や媒体とは無関係に評価されるように施策を立てる。
  • 評価基準に基づくシステムを用いる際は、全ての言語での雑誌や本の公刊が適切に考慮されるように施策を立てる。

学術コミュニケーションにおける多言語使用に関するヘルシンキ提言は、 フィンランド学会連合 (TSV)、フィンランド教育文化省公共情報委員会 (TJNK)、フィンランド学術出版協会、ノルウェー大学協会 (UHR) 、ヨーロッパ科学技術協同体(COST) 活動「ヨーロッパ人文社会科学研究評価ネットワーク」(ENRESSH)によって準備されました。

「全ての言語で」キャンペーンは、政策策定者や指導的な人物、大学、研究機関、研究助成、図書館、研究者が学術コミュニケーションにおいて多言語使用を促進するよう呼びかけるものです。学術コミュニケーションにおいて多言語使用を支援するという表明や動画を、個人で、また同僚と共同で、ツイッターやフェイスブックなどに載せることで、このキャンペーンに参加してください。#InAllLanguagesをつけて。

Translation: KIMURA Goro Christoph